小学校受験の試験内容の一つに行動観察があります。近年少子化の影響で、遊びができない子も多く、自由遊びの出題が増えています。
家庭や幼稚園での過ごし方が大きく影響するといわれますが、何を基準にして評価するのでしょうか。行動観察の内容や評価ポイントについてみていきましょう。
小学校受験は、これから一緒に勉強する子供達を選ぶ試験です。
学校側が望んでいるのは、「校風に合うかどうか」。しつけができていて、協調性と自主性があり、友達と仲良くできる子供に入学して欲しいと願っています。
ですが、子供の能力や個性はペーパーだけでは判断がつきません。そこで子供を深く探る方法として、行動観察を重視する学校が増えてきました。
行動観察は、簡単な遊びを通して、その子の行動(動き)を観察するテストです。学校によって内容は異なりますが、自由遊びや椅子取りゲーム、共同制作など多岐にわたります。
一度は体験したことのある遊びや日常的な内容ですが、行動を見ているだけで、判断力や協調性、自主性、コミュニケーション力、指示を聞きとる力、創造性や表現力といった能力から、しつけの状態まで分かるといいます。
行動観察を重視する背景には、過熱化する受験戦争が影響しているようです。受験対策でペーパーに力を入れると、結果はよくなりますが、必ずしもそれが入学後の学力につながるとは限りません。
ある校長先生が、「いくらペーパーがよくても、遊べない子は学力が伸びない」と語っているように、学習に熱中するあまり、遊びができなかったり、社会性に欠ける子が増えているのです。
こうしたことから、過熱化する詰め込み式の受験対策を学校側で拒むようになり、本来の子供の姿を観察する行動観察に重きが置かれるようになったのです。
行動観察で特に重視されるのが自由遊び。雙葉小学校では、ドミノやすごろく遊びをした後に、お片づけをするように指示します。白百合学園小学校では、上級生と一緒に絵本を読んでもらったり、折り紙などをして過ごします。
こうした遊びの課題を通して、学校は協調性や自主性、創造性や表現力、コミュニケーション力、しつけなどを観察するのです。
ペーパーテストのように、行動観察も模範通りに行動すれば、合格できると思われがちですが、あながちそうでもありません。
学校側では、しつけや自主性、マナーなどが、ほんとうにその子に身についているのかどうかが知りたいのです。
幼児教室や塾で訓練してきた子は、マニュアル通りの回答をしますが、それは学校側に違和感を与えるだけ。かえってマイナス評価につながります。
基本的には家庭や幼稚園で身につけるものですが、それだけでは足りません。行動観察の講座を開いている、塾や幼児教室で学ぶのが、もっとも効果的です。
塾や幼児教室を選ぶ時は、マニュアルに沿った詰め込み式の教室は望ましくありません。子供の個性や能力に合ったプログラムやカリキュラムがあり、一人ひとりと向き合ってくれる教室を選ぶといいでしょう。